Summer, Watarase Valley
Dedicated to the late Mr.Ichibe Fukukawa
Words and Music by Morihiro
震える 手のひら 広げて笑う
「あの頃 ぼくらは」 が口癖で
「飲むな」と 医者には 言われるけれど
命を 惜しむ歳でもない
足尾の町から 通洞あたり
ひとやま あてると 夢見た道
夕立ち ぬらした 草むらの陰
ものさえ かたらぬ 工場の跡
この山を枯らすことに 手を染めた
彼を今さら責めないけれど
昨日は昨日 今日は今日
そして明日は明日
そして明日は明日
はた織り 教える セピアの写真
嫁入り支度に 磨いた腕
今では 教わる 人もなくて
回らぬ 糸車 泣いている
「シャッターおろして もう10年」と
店先 がらくた 片付けもせず
人影 とだえた 街道筋
日差しに ふりそそぐ せみしぐれ
年老いた彼女に変わることを
強いるつもりはもうないけれど
昨日は昨日 今日は今日
そして明日は明日
そして明日は明日
古河市兵衛(1832-1903)
古河財閥創始者。父は醸造業。幼少時より丁稚奉公や行商に従事したのち、小野組にはいり生糸貿易に手腕をふるう。明治7年(1874)の小野組破産後は独立、8年(1875)東京に古河本店を開設し、渋沢栄一らの資金援助で銅山を中心とした鉱山経営を行った。足尾・草蔵・院内・阿仁・久根などの多くの鉱山を経営し鉱山王と称され、のちの古河財閥の基礎を築いた。しかし、足尾銅山の急激な発展は晩年鉱毒事件として問題化した。
(国立国会図書館Web展示「近代日本人の肖像」)